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2012.04.13

4 三寒四温を感じる-日本家屋の良いところ

 少し間があいてしまいましたが、あっという間に春が訪れました。今年は例年よりも寒さが厳しく、大磯でも雪が降ったり、蹲いの水も固い氷が張ったりしました。立春からはまさに三寒四温の日々がつづき、ようやく桜や桃などの花々が咲き始めました。

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 今回は日本家屋での冬の暖かさのお話です。前回に障子と襖の断熱性能のお話をしましたが、それに加え、ひととおり過ごしてきた冬の実際の生活とそれにともなって感じる「感覚」のおなはしを交えながら進めたいと思います。

 昨年から日本家屋での暮らしを始めるにあたり、やはり冬は寒く、それをどう凌ぐのが良いかとの思案と覚悟をしていました。まだ寒くなる秋口から、灯油ストーブのセレクトを始めたり、掘りごたつの櫓をどうやって調達するか、(元々掘りごたつがあったのですが、櫓と天板がありませんでした。)たとえ少ないにしても木製ガラス戸のすきま風がどの程度の寒さを感じさせるか、断熱材の入っていない土壁は冷たく、寒さを感じさせるのではないかなど、さまざまな思いを馳せつつ秋を過ごしていました。

Img_1093_2 以前に一度、木製建具の日本家屋で暮らしたことがありました。そこは熊本県阿蘇、阿蘇は九州の真ん中、大磯よりも緯度は南ですが、標高も高く、山に囲まれた高原気候のため冬は降雪や水道管の凍結など、寒さも穏やかとはいいがたいところでした。大磯での冬の暮らしを迎えるにあたり、その記憶のおかげで木製建具のすきま風も予測と覚悟がある程度できていたのは端緒としては良かったのかもしれません。

 それでは、大磯で過ごしてきて感じたこと、そしてその要因をいくつか上げてみたいと思います。
 冬は冷たい水で手がかじかんでしまったり、頬に冷たい風が吹きつけるなど、冷たさ・寒さを連想させ感じさせることが沢山あります。一方で、子供は風の子といったり、炬燵があれば十分だったりと、生命の危険を伴う程の寒さに至らずに過ごすこともできるという側面があります。またそれにより、実感として冬の「季節を楽しむ」ことができるのは良いところです。

Img_0649_2 日本家屋の室内ではどうでしょう。
 空気の寒冷さと室内への日差しの差込み具合が少しずれているおかげで、昼間の縁側には陽の光が燦々と差込み、温かい時間を過ごすことができます。縁側の暖まり具合により、部屋の障子を開けて暖かな空気を導き入れたり、雪見障子を上げて日差しを取入れたりと丁寧に調整することで室内の寒冷さを和らげることもできます。

 日が暮れると雨戸を閉め、障子を閉めることで昼間の暖かさを保ちながら、炬燵をつかい、ときには短時間だけストーブをつけたりと、小さく部屋を仕切ることができるおかげで、ほんの少しの暖房でも寒さが和らぎ、快適に過ごすことができました。

Img_0652_2 すきま風と窓ガラスからの寒さは陽の暮れた縁側では徐々に感じ始めますが障子を閉めることで和らげることができます。窓ガラスがみえることで感じる外の寒さは障子紙の柔らかな白さにより緩和され、障子紙の揺らぎが室内にすきま風が直接吹き込んでくるのを和らげます。

 近年はフリースや薄い羽毛素材など、より軽く、暖かく過ごすことができる衣服も増えてきました。衣服で補うことにより、暖かく保つ範囲をコンパクトにでき、すくない暖房でも過ごすことが可能になってきました。
 実際に暖房に要した電気代は約2,000円/月、灯油はわずかに18Lx2缶と、当初想定の半分以下であったのは嬉しい誤算でした。

 古い日本家屋や古民家を探される際には、部屋の周りに縁側や廊下がぐるっと取り囲み、障子や襖で小さく仕切ることができる、外気に直接面することがない部屋が1つあれば冬にもより快適に過ごすことができます。

 もちろん、イメージされてるいくつかのネガティブな面は本当のことです。
例えば、冬のお風呂は寒いです。それは腰壁や床がタイルの場合は熱容量がおおきいため、ユニットバスよりも湯気による温まり方が遅いためです。
 他にも、廊下や台所の板の間はどうしても床が冷たい。開放式の給湯器は換気が必須である。木製建具で寒さを凌ぐためには雨戸も閉めて断熱を良くする必要があり、そのために早い時間から部屋の中が暗くなります。

 一方で断熱が施された新しい家でも日差しの取入れ方が十分ではない、使っている素材が暖まりにくい、広くそして吹き抜けになっているなどのケースでは、継続的に暖房をしなければ快適に過ごすことができない場合もあります。
 暖房方法は様々ですが、エアコンは風や埃が苦手な方には不向きであったり、電気ヒーターはかかる電気代と比較し得られる暖かさが十分でなかったり、床暖房は暖まる迄に時間が掛かってしまったりと、苦手な側面をもっており、どうしても一長一短があります。
 その不十分さは日本家屋とその暮らしのエッセンスもう一度学んでフィードバックすることで、より低廉に快適に過ごすことができるようになります。

Imgp1423 例えば、三鷹の家では2階の1面を真南に向けて、出来るだけ沢山の日差しを取入れられるようにしました。もちろんガラスはペアガラス。それでも生じるガラスのコールドドラフト(窓で冷やされる冷たい空気の流れ)は吹き抜けから下へ流すことにより、寒さへの影響を少なくしています。

 冷えてきた際に用いる暖房は、床材に厚い無垢のレッドオークを使っていることもあり、床暖房ではなく温水パネルをもちいて、空気を柔らかく暖めるようにしました。

 太陽の恩恵を出来るだけ室内に取り込み、建具で小さく仕切ることでその暖かさを保つ。伝統的でベーシックな方法ですが、またあらためて見直し、取入れてみるのはいかがですか?


プロジェクトの写真をより詳しくご覧になりたい際には下記リンクをご参照下さい。
ジェル・アーキテクツHP-House

※お問い合わせ先:ジェル・アーキテクツHP
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写真協力 インテリア誌 DREAM
「DREAM」は1964(東京オリンピック開催)年の創刊以来、およそ50年、「美しく心豊かに住まうために」をテーマに、時代感のあるインテリアとそのマインドを紹介し続けています。
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